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目の前で交通事故、あなたはどうする

目の前で交通事故、あなたはどうする

【目の前で交通事故、あなたはどうする】

プーーーー!!!!!

大きなトラックのクラクションが鳴り響く。

数メートル先で

車が歩行者に突っ込む事故が起きた。

倒れた女性を支えながら

出血がないか確かめる

目を合わせ、意識が鮮明であるかを確認する。

目立った外傷はないが女性はそれ以上動けない。

妊婦さんではないようでわたしはさらに安心した。

車の運転手は警察へ電話をかけていて

女性のもとへはやってこない。

同じく信号待ちをしていた人は

じぶんの安全がわかるとすぐさま日常に戻った。

たった数秒のことだけれど

もし彼女が心肺停止だったらどうする?

頭から出血していたらどうする?

脚が折れていたらどうする?

病院まで何分?その間にできる処置は?

短時間でいろんなパターンを想像して

彼女のもとへ駆け寄った。

もちろん自分ひとりで

彼女を助けられるなんて思えなかったので

すごく怖かった。

こういう時は周りの人が

一緒に協力してくれるものでしょう?

でも、

救急車はどなたか呼んでいますか?

声を出しても届かず

だれひとり駆け寄ってこなかった。

倒れた女性はその後

じぶんの足で日陰に移動することができたが

頭の中は真っ白だったに違いない。

あとから振り返ったときにわたしは

この状況が恐ろしいと思いました。

目の前で人が倒れた時に

なぜなかったことにできる?

なぜ一瞬で日常に戻ることができる?

なにかの役に立てないか?と思う人は

その場にいなかったのか。

通報しても謝礼はもらえないし

関わったら時間も取られます。

大事な予定がつぶれるかもしれない。

なにもできないかもしれない。

だから、

《事故や事件

見てみぬふりが一番賢明な判断です。》

そうかもしれないですね。

これが当事者になったときに

同じセリフが吐けるのであればぜんぜん構わない。

でも当事者になったとき

助けて欲しいと思うのであれば

その瞬間に手を貸すことくらい簡単でないかと思うんです。

『だいじょうぶですか!』

『なにかできることはありますか。』

こんな一言が出るひとが日本中にいたら、

救われる命があるかもしれないと思います。

あなたは目撃者の一人として

大切な情報を持っているかもしれない。

理由など考えるひまなく

手を差し伸べるひとがひとりでも多くいたら

この世界はもっと優しくなるだろうと思う。

そんな人が増えるには

『想像力』という要素が必要なんです。

どこで誰が作って

どんなふうに扱われて

どれだけ時間がかけられて目の前に

並んでいるのか。

そんなふうに目の前のご飯ひとつでも

多くの想像を働かせる習慣が人の基本を作るのではと

また食事について考えた昨日でした。

そして昔はだれでも

おばあちゃんの知恵、的な感覚で

止血の仕方、保護の仕方などを

村人がみな知っていました。

専門家だけではなく

だれもが知る必要のある知識は

繋いでいくべきなんだなぁ、と

医療者としても考える時間となりました。

事故にあった彼女の身体が

どうか無事であることを祈るし、

事故を起こした人もまた

元気でいてくれたらなと思います。